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“街路樹の何倍もの太い幹を縦に断つ”


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"二百年ノ樹齢"

一枚板とは、巨樹の幹を縦に切り落とした板の塊の総称です。主にテーブルに使われます。
通常テーブル天板の造りは、芯材と呼ばれる下地に、天然木を薄くスライスした突板(つきいた)と呼ばれる数ミリの板が敷かれる構造になっています。大量に製造するコスト面、無垢や一枚板に生じることのある曲がりや反りがなく、持ち運びを考慮した重量面など、効率的観点からそのように作られます。
一枚板は、このような通常のテーブルとは異なり、利便性やコストを度返しした巨木を切り落とすというシンプルな作りながら、現在でもテーブルとして選ばれています。剥ぎ板(はぎいた)ではなく一枚板の場合、4人掛けのテーブル(180×90cm)の場合は、樹種にもよりますが、樹齢200年前後です。

一枚板のメリット

一枚板は、樹木の太い幹を縦に切り落としたシンプルな作りなので、ナチュラルな木目が天板全体に生じます。巨木を断つ角度によって天板面にあらわれる模様が変わる厚板は、一つ一つが一点物の造形になります。長手側面の耳と呼ばれる木肌、天板に残る割れや穴なども味として馴染みます。

一枚板のデメリット

重量面ではダイニングテーブル寸の天板は、一人で運べないほどの重さがあります。一枚板は、立木の樹木をスライスした木の塊という性質上、高温多湿の環境では、木の繊維が空気中の水分を吸い、逆に乾燥した場所では水分を吐き出します。その結果生じ得る、板の歪みやねじれへの対策を、製作過程で行いますが、直射日光や空調の風を避けるなど、設置環境を考慮する必要があります。

さいごに

材木には樹木としての時間があります。その経過で生じた外傷の風化跡も全体の造形を損なうことなく、美しい年輪や杢に馴染みます。現在でも、古来からの巨樹が名木と呼ばれ、切られることなく各地域に残っています。神木や霊木という呼称からも畏敬の感覚が感じられます。このような感性は、巨木から仕上がるテーブル板を単に素材として見るのではなく、窪みや穴も含めて一つの造形と見るような感性と重なり合う部分があるのかもしれません。見た目の力強さや木の塊という安心感に加えて、そうした風化跡も銘木からなる一枚板の特徴の一つです。