precious

“①杢 ②幹まわり ③樹種の稀少度”

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銘木の価値をどうやって判断するか

銘木とは、鑑賞価値のある材木の総称です。何をもって良し悪しを判断するかに、明確な定義があるわけではありません。
業界で通る基準は「木目の出方」「樹齢を裏付ける幹の直径」「樹種の珍しさ」の三点です。

1.木目の出方

年輪がつくり出す模様である木目は樹齢を数えるほど複雑になり表面には色艶が出ます。シンプルな模様よりも、曲線が入り組む複雑な模様の方が見ごたえがあり、等級が高まる傾向があります。特徴的な木目は、杢目(もくめ)と表記し、一般的な木目模様と区別しています。

2.幹まわりの太さ

樹齢を重ねることで幹まわりが太くなります。年輪にあるように、通常1年に1センチも太りません。テーブルになる一枚板は、通常樹齢100年〜200年を上回る大径木からしか製作できません。そのような樹齢の巨木の中には、自生する気候条件や土壌環境によって、部分的に穴や割れ、窪みや膨らみが見られるものもあります。そうした外傷の風化を含めた形状も銘木の一種です。

3.樹種の稀少性

樹種によって、木目の色味や出方、手触りや香り、重さや強度が異なります。数多い樹種のうち、見た目や香り、手触りの良さに加えて、機能性にも優れた良材を銘木と区分しています。日本では「屋久杉」「欅」「黒柿」、ヨーロッパでは「チーク」「マホガニー」「ウォールナット」、中国では「紫檀」「黒檀」「鉄刀木(たがやさん)」が代表的な銘木種です。

さいごに

三点をあげましたが、銘木に明確な定義があるわけではありません。これら以外にも数多くの捉え方ができます。木の個性に美を見い出す銘木という捉え方は、古くは安土桃山時代に広まった数寄屋建築や茶室に見られます。当時は、桑の一枚板や中国の珍材などの特徴を持つ樹種を、部分的にあしらっていました。住まいのインテリアとして室内に据えるものである以上、建築様式や時代背景とは切っては切れない関係です。数十年で様変わりした建築様式を踏まえると、銘木の意味もこの限りではなく、徐々に変化してきていると言えます。